Special page ~ 風ぐるま ~

 「風ぐるま」は2012年結成。波多野睦美(声)、栃尾克樹(バリトンサクソフォーン)、高橋悠治(ピアノ・作曲)らによる音楽ユニット。ジャンル、時代を越えた独自のプログラムを演奏する。これまでに「風ぐるま」「風ぐるま2~鳥のカタコト、島のコトカタ」の2枚のCDを発表している。

三位一体

サックスはシングルリードの木管楽器です。楽器本体はほとんど金属でできているけど、発音原理から木管に分類されます。 そして、声は言わばダブルリード。 ピアノはもちろん打弦楽器。 この組み合わせのアンサンブルは、それぞれが音色や発音の個性を発揮し、主張し合うと考えるのがスジというものでしょう。

でも、風ぐるまを始めて何年か経った頃から、自分で演奏していて「あれ?」と思う瞬間が度々やってくるようになりました。 今、自分は音を出してないのに、出しているような錯覚。 掛け合いで悠治さんのピアノとやりとりしているはずなのに、3人いる。波多野さんの声がいつの間にかそこにいるのに、いつから居たのか気がつかなかった。 波多野さんの声には歌詞という意味があるのだけれど、それに応える悠治さんのピアノにも歌詞が聴こえたり、自分の音が知らない間に悠治さんのピアノの音に変わっていたり。 知らず知らずのうちに、発音原理の違う3つの音が、同じ言葉を歌っているような。

このような感覚は、特に悠治さんが、辻征夫さんや永瀬清子さん、時里二郎さんといった人の手になる日本の詩につけた音楽の時に感じることが多いのです。

今回のコンサート、久々の再演の「まつおかさんの家」、そして新曲「白鳥の」でも、そんな瞬間が現れるのかなあ。

栃尾克樹

制作:ダウンランドアンドカンパニイ

CD「風ぐるま」リリース

2014年(PAU-8001)

・高橋悠治 岡真史/眠れない夜 ほか

風ぐるま 時代を超えて音楽の輪を回す

大阪公演/2012年10月31日 ザ・フェニックスホール
福山公演/2012年11月1日 リーデンローズ
東京公演/2012年11月9日 トッパンホール

風ぐるま2013~時代を超えて音楽の輪を回す~

大阪公演/2013年10月5日 ドルチェ・アーティスト・サロン
東京公演/2013年10月6日 アーティストサロン“Dolce”

新しい耳 特別企画 高橋悠治の耳 全3夜 第2夜~風ぐるま~

2013年11月3日(日) サロン・テッセラ

風ぐるま 2014 CD発売記念コンサート

2014年4月14日(月) 渋谷区文化総合センター大和田 伝承ホール

風ぐるま 秋田公演

2016年2月28日(日) 秋田市・ゲストハウスヴァレリアーノ

CD 「風ぐるま2~鳥のカタコト島のコトカタ」リリース

2018年(PAU-8002)

・納戸の夢 あるいは 夢のもつれ
(詩:時里二郎/曲:高橋悠治)

・鳥のカタコト 島のコトカタ
(詩:時里二郎/曲:高橋悠治)

風ぐるま 2016年 秋 ~ 夢のもつれ 猫は聴いた 二つの物語 ~

東京公演/2016年11月17日(木) 代々木上原ムジカーサ

大阪公演/2016年11月18日(金) ザ・フェニックスホール

風ぐるま2「鳥のカタコト 島のコトカタ」

2017年9月9日(土) ホール・エッグファーム

風ぐるまコンサート「まつおかさんの家」~CD「鳥のカタコト 島のコトカタ」発売記念

2018年6月5日(火)東京オペラシティ リサイタルホール

*高橋悠治による朗読「まつおかさんの家」

NHK BSプレミアム「クラシック倶楽部」~クラシック倶楽部 高橋悠治 in NHK ~時代を超えて 音楽の輪を回す~

2018年9月11日(火) 5:00~放映

風ぐるま

2019年4月26(金)  ムジカーザ

2019年12月7日(土) ホール・エッグファーム

風ぐるま〜時代を超えて音楽の輪を回す〜 名古屋公演

2021年9月25日(土) 宗次ホール

浜離宮アフタヌーンコンサート 風ぐるま~時代を越えて音楽の輪を回す~

2022年10月18日(火) 浜離宮朝日ホール

*2022年浜離宮朝日ホール バッハ平均律第一巻第6番より 高橋悠治(ピアノ)

一個人 7月号 2018年6月9日発売

音を楽しむための 今月の3枚 聴く 選者:小沼純一

『風ぐるま2』は、波多野睦美の声、栃尾克樹のバリトン・サックス、高橋悠治の作曲とピアノ、そして時里二郎のテクストで織りなされているアルバム。ひとつは《納戸の夢 あるいは 夢のもつれ》、もうひとつは《鳥のカタコト 島のコトカタ》。声はうたと語りのあいだを行き来し、楽器たちは点から線、線から点へと刻々に音のかたちを変え、ことばは意味やイメージをすっと落としたり、はぐらかしたり、聴いている者を立ちどまらせつつ、さっさと先にいってしまったり。マーケティング上では「現代詩」と結びついた「現代音楽」なのかもしれないが、そんなことより、ことばと音、音と音楽、音・音楽とイメージのゆらぎや乖離が明滅するさまざまを体感する場、メディアとして聴きたい。こういううたもあるんだ、ありうるんだ — それも、シルビアやビートニクスとともにとらえてみると、うたの広さ、奥深さに、ふっとため息をつく。

intoxicate #134 2018年6月20日発行

高橋悠治、波多野睦美、栃尾克樹の顔合わせで2012年に結成され“風ぐるま”の2枚めのアルバムです。時里二郎の詩、高橋さんの作曲による作品集。《納戸の夢 あるいは 夢のもつれ》は、歌唱の部分と語る部分が、凝縮されたピアノとバリトンサックスの音と共に浮遊するように行き来し、その中に夢か現かの幻想的な詩の情景が広がる独特の魅力の作品。《鳥のカタコト 島のコトカタ》も語りと楽器が絶妙に絡み合い、それは高橋さんご自身の“揺らめく声と、楽器の線が交錯する、薄い織物”という表現がぴったり。波多野さんの日本語の美しさが際立ち、お三人の息のあった自在の表現が聴きどころです。(タワーレコード本社 古川陽子)

ぶらあぼ 2018年6月号

声と言葉を操る波多野睦美の表現が深く美しい。詩人・時里が台本を書き下ろした「納戸の夢〜」の創作にあたって、波多野は高橋に「レチタティーヴォ(しゃべり)とアリア(歌)の間で、声が行き来するような曲を」と依頼したという。波多野は上演形態から「モノオペラ」と称しているが、高橋と時里は、おそらくは音と言葉の関係をオペラに対置して、「反オペラ」と呼んでいる。言葉はそれ自身の音、そして楽器の音とも自由に戯れる。その語りと歌のたゆたいをさらにつきつめたのが「鳥のカタコト〜」で、こちらは継続中の「名井島」シリーズからの6つの詩による。(宮本明)

「CDジャーナル」2018年7月号

まもなく傘寿を迎える高齢に達してもなお、旺盛な創作意欲は衰えない高橋悠治。モノオペラとバラッドを収録。高橋作品に欠かせない波多野睦美の声、そして栃尾克樹のバリトンサックスも人の声のごとく響く。夜、ひとり酒を飲みながら、こんな音楽に耳を傾けて瞑想するのも悪くない。(月星拓人)

風ぐるま 2014年(PAU-8001)
風ぐるま2 2018年(PAU-8002)

風ぐるま

《時代を越えて音楽の輪を回す》。異色のトリオ「風ぐるま」の1stアルバム。バロックと高橋悠治の新作を収録

◆収録曲:眠れない夜/古い狐のうた/小さな水車のように/あけがたにくる人よ/鳥籠/突然の別れの日に/六番の御掟について/網膜裂孔(高橋悠治)ひとときの音楽(パーセル)好きなの(ハジダキス)葬式/白いシャツ(クープラン)憐れんでください(J.S.バッハ)膀胱結石手術図(マレ)全14曲

風ぐるま2

高橋悠治、波多野睦美、栃尾克樹のトリオ「風ぐるま」の2作目となるCD。時里二郎の独自の詩の世界を高橋悠治が音楽にする。モノオペラ「納戸の夢 あるいは 夢のもつれ」と、未完のバラッド「鳥のカタコト 島のコトカタ」を収録。

◆収録曲:「納戸の夢 あるいは 夢のもつれ」「鳥のカタコト 島のコトカタ」:じょのうた/名井島の猫/いぬたにほうと/鳥のかたこと 島のことかた/にいさんのこさえた人形/ないしまの(高橋悠治)

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